レッスンに通い始め、盟友・近藤真彦と出会う

 そんな僕を、内心は母は“このままじゃだめだ”と不安に感じていたのだと思います。スカウトは、よいきっかけだと思ったのでしょう。事務所のレッスン場は六本木にありましたから、実家からそこに行くには電車を乗り継がなければなりません。そりゃあ、僕にとっては大冒険でしたよ。後から聞いた話では、母はドラマ『家政婦は見た』よろしく、こっそりと後からついてきていたらしいです(笑)」

「可愛い子には旅をさせよ」ではないが、母が背中を押したことで引っ込み思案だった野村少年は中野区を飛び出した。レッスン場では、今なお親しく交流する盟友、近藤真彦との出会いが待っていた。

「六本木のスタジオでいろんなレッスンを受けさせていただき、そのなかにはもちろんダンスもありました。でも、何度かやっていくうちに分かるんですよね、“これは、できそうもないな”って。だんだんとダンスレッスンに身が入らなくなり、サボりがちに。

 そんな僕とよく似た行動をとっていたのが、マッチくんでした。最初の挨拶だけ顔を出して、そのあとよく2人でゲームセンターなどに逃げ込んでましたね。だから、僕とマッチはどっちもうまく踊れません(笑)。