一世を風靡したドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)への出演で注目され、“たのきんトリオ”の一人として絶大な人気を誇った野村義男さん。アイドルでありながら、当時は珍しかったバンド「The Good‐Bye」を結成。その後は、ギタリストとして浜崎あゆみさんのサポートや人気音楽番組「LOVE LOVE あいしてる」(フジテレビ系)に出演するなどしてきた。ギターを愛し続ける“よっちゃん”の、THE CHANGEとは。【第1回/全5回】

野村義男 撮影/冨田望

 野村義男さんをイメージするとき、ほとんどの人が、あの柔和で人なつっこい笑顔を思い浮かべるのではないだろうか。事実、インタビューで野村さんを目の前にしたとき、まったく予想を裏切らないとびきりの笑顔を見せてくれた。そして、こちらの気持ちをほぐすかのようにゆっくりとした口調で、自分の半生を振り返り始めた。

「そうですね……人生の転機。ターニングポイントって、そのときどきにいろいろあって、どれか1つを選ぶことは難しいです。これまでの経験や出会いのすべてが今につながっているんじゃないかなぁって。

  ただ、まぎれもなく僕にとって大きなTHE CHANGEのひとつは、小学6年生でジャニーズ事務所(当時)にスカウトされたこと。それまでの僕は、学芸会で人前に出るのも苦手で、授業中に先生が“これ、分かる人は手を挙げて”と言ったとき、1度も手を挙げたことがないような子でした。とにかく、人前で話すのが嫌いだったんです。

 実家は、東京都中野区。『野村モータース』というオートバイ屋をやっていたんですが、そこから自転車で行けるところが僕の世界のすべてでした。バスも電車も乗らず、なんなら一生、中野区で暮らすつもりだったんです。