ギターとの出会いは小学5年生のとき

  だって、自分たちで曲を作るわけだから、そのためにはいろんな音楽を聴くようになるし、いい音楽を作るにはどうすればいいかすごく考えます。そして、いろんなことを試すようになるんです。もちろん、人様に聴いていただくためには、それに恥じないような演奏力も身につけたいと思うようになりました。そうしたすべてのことが、僕の音楽的な土台になっていったんだと思います」

野村義男 撮影/冨田望

 野村さんがジャニーズ事務所にスカウトされたのは、小学6年生のとき。実は、それよりも前に、ある意味でもっとも大きな運命の出会いがあったという。

「小学5年生のとき、姉がギターを弾き始めたんです。はじめは僕がプラモデルを作っている隣の部屋で、じゃかじゃかギターを鳴らす姉を“うるさいな”って思っていました。ある日、姉がいとこからギターを1本借りてきて、“ちょっと来て!”って僕を呼んだんです。そして、何の説明もなくそのギターを渡され、“こことここを押さえて、ボロンとやってみて”と命令したんです。そのとき、僕は人生初のEマイナーを弾きました。

 僕がコードを押さえて弾くと、姉はソロパートを弾けるんですよ。いまならパソコンとかのアプリで、バッキングのリズムを簡単に鳴らすこともできるけど、当時はそんなものはありません。弟を都合よく“バッキングマシーン”に仕立てようとしたわけです。僕は人生で初めてギターを触ったわけだから、うまく音が出るわけがない。でも、姉は容赦なく、“もっと強く、しっかり押さなきゃダメ!”と、厳しくしごくんです。まいりましたね(笑)。

 後日、ギターはいとこに返してしまいましたが、僕としては姉からダメだしされた悔しさが心の中に残っていました。だから、姉がクラブ活動で帰りが遅くなる日を狙って、そーっと姉のギターを引っ張り出して練習したんですよ。知らない間に上達して、見返してやるつもりだったんです」

 なかば強制的に触れたギターでコードを鳴らした瞬間から、シャイな少年の将来は決定づけられていたのかもしれない。

取材・文/キツカワユウコ

野村義男(のむら・よしお) 1964年10月26日生まれ、東京都中野区出身。1979年、ドラマ『3年B組金八先生』に出演し、ブレイク。1983年にバンド、THE Good‐Byeを結成。1990年に活動休止するも、2003年に活動を再開。今夏は、バンドデビュー40周年記念の最後を飾る「The Good-Bye Concert Tour 2024 ~40th Anniversary year Final~」を東名阪で開催。自他ともに認めるギターマニア。ソロに加え、仮面ライダーをテーマにしたバンド・RIDER CHIPSなど、複数のバンドなどで精力的に活動している。10月20日、東京・六本木で「野村義男 60th Anniversary Live 〜還暦目前!10年ぶりのソロライブ!〜」を開催するのに合わせ、公式X@nomura_staffも開設された。

野村義男 60th Anniversary Live ~還暦目前!10年ぶりのソロライブ!~
会場:EX THEATER ROPPONGI
日比谷線&大江戸線 六本木駅から徒歩5分
千代田線 乃木坂駅から徒歩8分
公演日:2024年10月20日(日)
公演時間:開場 16:00 / 開演 17:00
出演者:野村義男
野村義男バンド:五十嵐公太(Dr.)、寺沢功一(Ba.)、力石理江(Key.)、松尾和博(Gt.)、三浦拓也(Gt.)、田村直美(Cho.)、出口雅之(Cho.)
※未就学児童入場不可
※営利目的の転売禁止・転売チケットの入場不可
ドリンク
ご入場時1ドリンク代別途¥600必要です。
チケット販売
一般発売日
9月1日(日)10:00~
問い合わせ先:ネクストロード
03-5114-7444 (平日14~18時)