父・緒形拳と同じく、20代でNHK大河ドラマの主演を務めたキャリアを持つ俳優・緒形直人。大ヒットを記録した『優駿 ORACION』での映画デビューに始まり、今年、日曜劇場『アンチヒーロー』で改めて知らしめた存在感、出演を控える連続テレビ小説『おむすび』と、父と同じく俳優としての人生を歩むが、もともとは「裏方志望だった」とか。そんな緒形さんがTHE CHANGEを語る。【第3回/全4回】

緒形直人 撮影/有坂政晴

 公開中の映画『シサム』で松前藩士を演じている緒形さん。神奈川県出身の緒形さんだが、俳優として、これまでにも北海道とは何かと縁がある。

「富良野では、ダイアモンドダストを見ましたよ。あれは良かったですね」

 緒形さんは1981年から2002年までの長期にわたって放送され、絶大な支持を集めたドラマ『北の国から』のスペシャル版である「'89帰郷」「'92巣立ち」「'95秘密」に、黒板螢(中嶋朋子)の初恋の相手、和久井勇次役で出演した。

 そして何より緒形さんと北海道といえば、『優駿 ORACION』。1頭のサラブレッドをめぐる人々の生きざまを描いた宮本輝氏の小説を映画化し、大ヒットを収めた映画主演デビュー作である。監督は『北の国から』の杉田成道。斉藤由貴がヒロインを演じ、吉岡秀隆加賀まりこ石橋凌石坂浩二田中邦衛仲代達矢という豪華キャストに加え、父親の緒形拳も出演している。

「撮影期間の1年間、北海道にいました。スタッフが50~60人来ていたのですが、撮影の始まる前と終わった後、僕ひとり残されて、毎日、牧場で馬の世話をしていたんです。馬って、ちゃんと人間を見てるんですよね。いろんな牧場に行って、馬との接し方を教わりました。“馬も人間が好きで、いろんなことをやってくれるんだよ”と。ある牧場の人には、“俺の肩に前脚を乗せてきて、よく相撲を取るんだ”と言うんです」