映画でもギターを奏でながら熱唱!

 今作、中村さんとともにW主演で出演するのが遥海さん。「男」と同じ会社で働く若き歌姫の「女」。

「とにかく彼女は圧倒的でした。現場でもあの歌声を耳にすると、素直に凄い、と思いました。この作品でもその歌声を聴くだけで届くものがあると思います」

 今作の中では、中村さんも歌声を披露するシーンがある。

「あのシーンは、一発で決めないと駄目だと自分の中であったんです。多分、もし上手くいかなかったらやり直しさせてくれたとは思うんですけど、でも自分の中ではもうこれ一発で決めないと駄目だと決めて挑みました。やっぱり何度かやっていたら歌のテンションが下がっていくと思うんですよね。でも、一発で決めなきゃいけない決めなきゃいけないと思って、ものすごい力が入りすぎたんですよね。あれは本当に“ごめんなさい”って感じです」

ギター1本で熱唱する中村耕一 映画『はじまりの日』より (c)ジジックス・スタジオ

 中村さんはそう語るが、そのギターを奏でながらの熱唱シーンは、魂の叫びともいえる迫力がスクリーンを満たしていた。監督から「芝居を求めていない」と言われた中村さんだが、その力強さは息をのむ。

「いや、歌に関してはとにかく気合を入れすぎた感じです。セリフはもう何も…周りの方に助けられました」

 ロックスターという座を失った「男」と中村耕一の歌声がクロスする瞬間は、「芝居」を超えた誰にも作ることのできない世界を生み出している。

(つづく)

(プロフィール)
中村耕一(なかむら・こういち)
北海道函館市出身。ヴォーカリストとしてJAYWALKに加入、アルバム『JAYWALK』(1981年)でメジャー・デビュー。「何も言えなくて・・・夏」(1991年)が180万枚を売り上げる大ヒットを記録。同曲で日本有線大賞、日本レコード大賞など受賞。2011年3月JAYWALKを脱退。
2013年よりソロアーティストとしてライブ活動を開始。2017年以降、様々なアーティストと共演し、全国でライブを行う。近年は日本のブルースバンド「OSAKA ROOTS」とのライブなども好評。「歌うことが幸せだ」と数々の名アーティストと年100本以上の全国ライブを周る。

『はじまりの日』
バンド「JAYWALK」の元ボーカリスト・中村耕一が主演を務め、ミュージカル舞台でも注目を集め圧倒的な歌唱力で注目されているシンガーの遥海がヒロインを演じた。
監督/日比遊一 
中村耕一(ex JAYWALKボーカリスト)、遥海 W主演
高岡早紀 山口智充 岡崎紗絵 羽場裕一 秋野暢子 麿 赤兒 竹中直人
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
10月5日より名古屋先行ロード―ショー 10月11日より全国公開

「はじまりの日公式X」https://twitter.com/hajimarinohi_jp
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