ものすごい救いがあるというか、希望のある映画

 しかし、そうして掴んだトップアーティストの座は自らの事件で失うことになる。音楽を辞める、と決めた中村さんは、周りの支えもあり再度音楽の場に戻ってくる。『はじまりの日』でも、そうした再生が描かれる。

「この映画を観て、何かをもう一度やり直してみよう、と思ってくれる方もいらっしゃると思うし、夢や希望を持ってる方で、無理だろうなと思っている方も、いや、諦めなかったら、ひょっとしたらひょっとするかもしれないなって思ってくれるかもしれない、そんな映画だと思っています。僕も実際そうでしたけど、諦めよう…というか、諦めなきゃいけないという状況だったんですけども、諦めないことで生まれるものもある、と体感しました。もちろん、叶わないこともたくさんあるけれど、だけど諦めなければ何とかなることもたくさんあるんだって。自分が演じていながら言うのもおかしいんですけど、そんな思いが画面から感じられる作品です」

 また、少し間をおいて「ものすごい救いがあるというか、希望のある映画だと思います…って僕が言ってもな」と苦笑いを見せた。映画の中の「男」が静かに自らを語るときと同じように、かみしめる悔恨とアーティストとしての強い自負が合わさった表情でつぶやくように語ってくれた。

(プロフィール)
中村耕一(なかむら・こういち)
北海道函館市出身。ヴォーカリストとしてJAYWALKに加入、アルバム『JAYWALK』(1981年)でメジャー・デビュー。「何も言えなくて・・・夏」(1991年)が180万枚を売り上げる大ヒットを記録。同曲で日本有線大賞、日本レコード大賞など受賞。2011年3月JAYWALKを脱退。
2013年よりソロアーティストとしてライブ活動を開始。2017年以降、様々なアーティストと共演し、全国でライブを行う。近年は日本のブルースバンド「OSAKA ROOTS」とのライブなども好評。「歌うことが幸せだ」と数々の名アーティストと年100本以上の全国ライブを周る。

『はじまりの日』
バンド「JAYWALK」の元ボーカリスト・中村耕一が主演を務め、ミュージカル舞台でも注目を集め圧倒的な歌唱力で注目されているシンガーの遥海がヒロインを演じた。
監督/日比遊一 
中村耕一(ex JAYWALKボーカリスト)、遥海 W主演
高岡早紀 山口智充 岡崎紗絵 羽場裕一 秋野暢子 麿 赤兒 竹中直人
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
10月5日より名古屋先行ロード―ショー 10月11日より全国公開

「はじまりの日公式X」https://twitter.com/hajimarinohi_jp
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