小学6年生で下した大きな決断
小学5年生の時には、わんぱく相撲全国大会にも出場。そして、小学6年生の時、泰輝は大きな決断をする。それは、津幡町の親元を離れて、新潟県糸魚川市の能生中学に「相撲留学」するというものだった。
「たまたま6年生の時、地元でおこなわれた高校相撲の全国大会を観戦したんです。石川から新潟へ行った選手が勝って優勝した姿がまぶしくて、“すごいなぁ”と思ったんです。
これから先、相撲を続けていくには、食費だったり遠征費だったり、いろいろとお金がかかります。正直、僕のウチは裕福なほうではなかったので、“家族の思いを背負って相撲に賭けよう!”という気持ちで、相撲の強豪校に行く決意をしたんです」
今でこそ、192センチ、182キロの堂々たる体躯の大の里だが、「決意」した12歳当時は、背は高い(173センチ)ものの、体重は100キロ前後と、細長いタイプの少年だったという。
誰一人知り合いがいない、友だちもいないという状況のまま、新潟県糸魚川市の能生中学に進んだ泰輝は、15~16人の相撲部員たちと寮生活を送ることになる。
「今考えれば、中学から新潟に行ったというのは、僕の最初の転機だったと思います。誰から指図されたわけでなく、自分自身で選んだ道でしたが、両親もよく許したなぁと思いますよ(笑)。だからこそ、絶対逃げては帰れない! と、子ども心に思っていました」
新潟での新生活は、泰輝少年を大きく変えていくことになる。
(つづく)
大の里(おおのさと)
二所ノ関部屋所属の力士(本名:中村 泰輝)平成12年6月7日生まれ。石川県河北郡津幡町出身。身長/192.0cm、体重/182.0kg
初土俵は令和五年五月場所、同年九月場所に新十両、令和六年一月場所で新入幕を果たす。同年3月場所に平幕で初優勝、そして9月場所では関脇として13勝2敗で優勝し、大関昇進を果たした。