9月25日に昭和以降最速となる初土俵から所要9場所での大関昇進を果たした大の里。身長192cm、体重182kg、石川県津幡町出身の24歳。小学校を卒業後、親元を離れ新潟県の中学に“相撲留学”、日体大に進学後は「アマチュア横綱」に輝くなど数々のタイトルを獲得した。大相撲に幕下付け出しデビューからまだ1年半ほどで優勝2回、大関まで駆け上がった。まぎれもなく、いま最も注目されている力士である。大の里泰輝のTHE CHANGEとはーー。【第4回/全5回】
2023年4月、大相撲二所ノ関部屋に入門した中村泰輝は、翌5月の夏場所で初土俵を踏むこととなった。
四股名は、「大の里」。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が若い頃、候補に挙がったこともあるこの四股名は、以前、青森県出身の大関が名乗ったものだ。元大関は「大ノ里」と言い、「ノ」と「の」の違いこそあるが、将来は大関、横綱に駆け上がってほしいという師匠の願いがこもった大きな四股名だ。
さて、大の里は、日本体育大学時代、10月の国体(現・国民スポーツ大会)成年男子の部で優勝。12月の全日本相撲選手権でも優勝しているため、相撲協会の規定で、幕下10枚目格付け出しでのデビューとなった。この資格は、同じ石川県出身の遠藤聖大(現幕内・遠藤)も取得していて、最短なら1場所での十両昇進も可能な地位なのだが、23年9月、規定が廃止されたので、大の里が最後の規定使用者となった。
大学時代の実績を考えれば、7戦全勝(幕下以下は1場所7番相撲を取る)の期待も大きかったのだが、プロデビュー1戦目で、大学の2年先輩、石崎(現十両・朝紅龍)に突き落としで敗れてしまう。その後は6連勝し、6勝1敗と勝ち越したものの、プロの厳しさを知る場所となった。