9月25日に昭和以降最速となる初土俵から所要9場所での大関昇進を果たした大の里。身長192cm、体重182kg、石川県津幡町出身の24歳。小学校を卒業後、親元を離れ新潟県の中学に“相撲留学”、日体大に進学後は「アマチュア横綱」に輝くなど数々のタイトルを獲得した。大相撲に幕下付け出しデビューからまだ1年半ほどで優勝2回、大関まで駆け上がった。まぎれもなく、いま最も注目されている力士である。大の里泰輝のTHE CHANGEとはーー。【第5回/全5回】

大の里

 2024年夏場所千秋楽。

 小結・大の里は、4敗の関脇・阿炎との対戦が組まれた。

 4敗の平幕・大栄翔は琴勝峰に勝って、4敗をキープ。大の里が阿炎に敗れて4敗となり、結びの一番で大関・琴櫻が4敗を守れば、4人での優勝決定戦に持ち込まれる可能性がある。

 大事な一番は、わずか3秒ほどで勝負がついた。

 阿炎のモロ手突きにのけぞりながら、慌てずにあてがって、受け止める。そして、右からおっつけて前に出て、押し出しで勝利。その瞬間、大の里の初優勝が決まった。初土俵から7場所目の快挙で、春場所の尊富士の10場所をも上回る新記録だ。

「15日間長かったけれど、優勝という形で終われて本当によかったです」

 と、ホッとした表情で優勝インタビューに答えた大の里。ただ、師匠(二所ノ関親方=元横綱・稀勢の里)からは、「これが目標じゃないぞ」とクギをさされたそうで、「来場所に向けてしっかりがんばりたい」と心を新たにした。