「その経験があって、やはり脚本を読むときの捉え方が変わりました」

 講師からの評価も上々だったようだが、それでも平岡さんご自身が「書けない」と断言するのは、そのキャリアで出会った多くのスタッフへの尊敬の念の表れでもあるのだろう。さらに平岡さんは続ける。

「その経験があって、やはり脚本を読むときの捉え方が変わりました。それは“どういう経緯があって、このシーンがあるのか”ということを深く考えるようになったということなんです。

 たとえばラブストーリーで、相手に“好き”と言うセリフがあったときに、そこ至る経緯を深く考えることで、その“好き”をどういうふうに言えばいいのかが変わってくると思うんです。

 自分が死ぬ役だったとすると、どういう経緯で死ぬのか、その捉え方によって、その作品からの“いなくなり方”も変わってくるんじゃないかな、と思っています。

 犯罪者の役をやるときも、どういう経緯で犯罪を犯してしまったかに重点を置いて読むと、この人物は直情的な犯罪者なんだなとか、クレイジーな殺人犯なんだな、ということが見えてきますので」

 俳優としての自分に磨きをかけるために、あえて制作者側の修練を積んでみる。その思い切りの良さと勇気が、「俳優・平岡祐太」の魅力を確かなものとする「THE CHANGE」となったようだ。

■プロフィール 
ひらおか ゆうた
1984年9月1日生、 山口県出身。02年に第15回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。09年にドラマ『ゴッドハンド輝』で連続ドラマ初主演を務め、10年に『龍馬伝』でNHK大河ドラマ、16年に連続テレビ小説べっぴんさん』で朝ドラに出演。17年にはTBS月曜名作劇場『内田康夫サスペンス 新・浅見光彦シリーズ』で4代目・浅見光彦を務めるなど活躍を続ける。今年は映画『魔女の香水』に出演するほか、公私ともに親しいポルノグラフィティのギタリスト・新藤晴一が手掛けるミュージカル『ヴァグラント』への出演も決定しており、映画、ドラマ、舞台など多岐にわたり様々な作品に出演する。

映画『魔女の香水』
監督・脚本:宮武由衣 製作統括:菅原智美 音楽:小林洋平
主題歌:川崎鷹也「オレンジ」(ワーナーミュージック・ジャパン)
企画:358プロジェクト
出演:黒木瞳、桜井日奈子、平岡祐太、水沢エレナ、小出恵介、落合モトキ、川崎鷹也、梅宮万紗子、宮尾俊太郎、小西真奈美
配給:アーク・エンタテインメント 6月16日(金)より全国公開

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