このままいったらヤバい、ということは自覚していた
ーーどんなことを話したのでしょう。
芝「本当になんでもないことです。昨日観たテレビの話とか。これから世の中がどうなっていくのかわからなかったし、お笑いの仕事がどうなるのか……僕らもフェードアウトしていくのかもしれないし、“そうなったらたぶん俺らみたいな人間は社会では生きていけないかもね”みたいな話をしたり」
ともしげ「構成作家の松原秀さんという人が、芝くんが礼服を借りたけど返さなかったことについて“そういうことはひとつずつしっかりしなきゃダメだよ”と芝くんに言ってくれたらしくて。芸人は“おもしろければいい”というのはもちろんあるけど、これを機にしっかりしなきゃいけないのかもな、と思いました」
芝「結局、売れない理由も“売れちゃいけない人間だから、売れていないのでは。このまま売れても、常識もないし、お茶の間に受け入れられる体じゃないだろう”と」
ともしげ「そういう話をして、“ちゃんとしなきゃな”となったんですよ」
ーー芝さんが「ちゃんとしていない」側とは意外です。
芝「たしかに僕はライブをやっていたときから司会ばかりやらせてもらっていたからか、"ちゃんとしている”と思う人もいるんですけど、社会に出たらバイトも勤まらないし。30代後半だし、もうちょっとちゃんと年相応に社会人をやっていないと、このままいったらヤバい、ということは自覚していました」
このとき、ともしげさんが結婚を決意したことは、大きな転機のひとつだったという。
ともしげ「付き合っている人がいて、結婚を見据えて同棲を始めて。そういうことにちゃんと向き合って、がんばろうかなと思って。アマゾンで指輪を買いました」
ーー塞ぎ込んでもおかしくないような時期に、それぞれ生活を顧みて、おふたりの関係も良好だったんですね。
芝「幸か不幸か、という感じですけどね。やっぱりしんどかったですから。唯一この時間を有意義にできるとしたら、『Mー1』が開催されるかどうかもわからなかったけど、あると想定して、"ちゃんとネタやってみるか”とネタを作ったりもしていました」
ともしげ「やっぱり、お笑いでおもしろいことをやっていれば確かにイケるのかな、というのは、錦鯉さんとか頑張っているのを道しるべにしたりしていました。結局たぶんほかの仕事はできないし、できるところまでやろう、と。お笑いで行くしかなかったんです。もうおじさんだし、ほかのことは全部捨てて、とりあえず行くしかなかった」