俳優への憧れはあったのか?

 俳優という職業にたいして、テレビドラマや映画、舞台といった華やかな場で活躍しているイメージをもつ方も多いだろう。和田さんに“陸上競技の道に進む前から、もともと俳優への憧れはあったのか”とたずねると、「ない。生き方で選んだ。何かの映画見ましたって、俳優の誰かに憧れてどうだというのが一切ないんですよ」と、迷いが一切ない答えが返ってきた。

 俳優という仕事は「生き方で選んだ」と断言する和田さんだが、陸上競技から俳優への「THE CHANGE」を迎えて19年目の現在、俳優業を始めた当初と、俳優という仕事への考え方、とらえ方に何か変わったことはあったのだろうか?

「俺がこうやって喋っているということは、大して変わっていないってことなんだ」と語る和田さんは真剣な瞳をしていた。

「基本は変わらない。もちろん様々な経験で自分を取り巻く環境は変わりましたよ。でも、自分のベースにあるものは多分何にも変わってないというか。陸上をやり始めて、そこでいろいろ培った感覚っていうんですかね。

 もちろん家族から受けたものであったりだとか、厳しい陸上競技の中でいろいろ培ってきたもののなかで経験してきたこととか。それこそ、“あいさつをきちんとしなさい。素直さ、謙虚さ、感謝の気持ち、そういうものを大事にしなさい”、とか。

 本当に教科書に書いてあるようなことですけど、意外とこういうことができないんです。

 僕がやろうとしていることは、長く俳優の仕事を続けること。階段を一段一段登る話で例えましたが、そうするためには仕事を行なっていくことが大事だなと思って、今も当時からずっと変わってないなって思います」

 俳優など、芸能界の仕事はきらびやかな一面に注目が集まりがちだ。しかし和田さんは「あいさつ、素直さ、謙虚さ、感謝の気持ちを大事にする」という基本的な部分についてずっと変わらないという。陸上から俳優の道へという「THE CHANGE」はあったものの、大切にすべきことは昔から共通しているようだ――。(ヘアメイク:小林純子、スタイリング:田村和之)

■和田正人(わだ・まさと)
 1979年生、高知県出身。05年俳優デビュー。13年のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』ではヒロインの幼なじみ・泉源太を演じ、視聴者から好評を博した。以降も、CX『純愛ディソナンス』や、今年公開映画『THE LEGEND&BUTTERFLY』『Winny』など、ドラマ・映画に多数出演。23年6月30日には、貫地谷しほりとダブル主演の映画『オレンジ・ランプ』が公開予定。

■映画『オレンジ・ランプ』
6月30日より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
配給:ギャガ
監督:三原光尋
主演:貫地谷しほり  和田正人 
出演:伊嵜充則 山田雅人 赤間麻里子 赤井英和 / 中尾ミエ
 39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されたカーディーラーのトップ営業マン・只野晃一は、妻・真央と娘2人と暮らしていた。会議を忘れたり、自宅への帰り道を忘れたりしてしまい戸惑う晃一のサポートを真央はなんでも先回りしてやろうとするが、ある出会いをきっかけに2人の意識は大きく変化。「人生を諦めなくていい」と気づいていく、夫婦の希望と再生の物語。
©2022「オレンジ・ランプ」製作委員会

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