和田さんが『オレンジ・ランプ』を通して考えたこと

 そして、和田さんが『オレンジ・ランプ』の撮影を通して考えた「THE CHANGE」――俳優として何を大切にしたいかを語ってくれた。

「どちらかというと、これまで認知症をテーマにした作品って、悲劇的に描かれているものとか、やっぱり病気は治らないですよ、みんなを忘れていきますよというところで終わっちゃってる。もちろん最終的には、見ている人にどう解釈を委ねるかという部分にはなると思うんですけど。

『オレンジ・ランプ』でそのへんがひとつ違ったのは、途中の選択肢次第で、“周りの人たちの理解で実はこんなふうな未来への道もあるんですよ”という。それが創作じゃなくて、実際の話で、っていう新しい切り口ではあるなって。

 作品を通して現時点で認知症と戦っている人、つい最近宣告された人、告知された人に対し、若年性認知症との向き合い方の一つの選択肢として、生き方としてこういう選択肢ができるんだよ、ということを知ってもらえるといいな、と。

 今後医療ドラマや、政治家を演じることもあるかもしれません。役を通して身の回りにいる人たちに対し、“こういうことらしいよ”って素直に伝えていく。そのようなそんな役割として取り組んでいくことがすごく大事なのかなと思いました」

 作品と芝居を通して、多くの人に色んなことを考えてもらう。和田さんが演じた役を通して、その人にとっての「THE CHANGE」がもたらされる未来が待ち遠しい。(ヘアメイク:小林純子、スタイリング:田村和之)

■和田正人(わだ・まさと)
 1979年生、高知県出身。05年俳優デビュー。13年のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』ではヒロインの幼なじみ・泉源太を演じ、視聴者から好評を博した。以降も、CX『純愛ディソナンス』や、今年公開映画『THE LEGEND&BUTTERFLY』『Winny』など、ドラマ・映画に多数出演。23年6月30日には、貫地谷しほりとダブル主演の映画『オレンジ・ランプ』が公開予定。

■映画『オレンジ・ランプ』
6月30日より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
配給:ギャガ
監督:三原光尋
主演:貫地谷しほり  和田正人 
出演:伊嵜充則 山田雅人 赤間麻里子 赤井英和 / 中尾ミエ
 39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されたカーディーラーのトップ営業マン・只野晃一は、妻・真央と娘2人と暮らしていた。会議を忘れたり、自宅への帰り道を忘れたりしてしまい戸惑う晃一のサポートを真央はなんでも先回りしてやろうとするが、ある出会いをきっかけに2人の意識は大きく変化。「人生を諦めなくていい」と気づいていく、夫婦の希望と再生の物語。
©2022「オレンジ・ランプ」製作委員会

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