2022年の『M-1グランプリ』優勝以来、さまざまなバラエティで活躍するウエストランド井口浩之。ツッコミはもとより、愚痴と文句を言わせたら右に出るものがいない口達者ぶりで、仕事は引きも切らない。その文句言いぶりゆえに見落とされがちだが、実はウエストランドはデビュー間もない頃からテレビで着実に結果を残してきた駿才でもある。これまでの芸人人生で井口が感じた、「THE CHANGE」とは――。【第4回/全5回】

ウエストランド井口浩之 撮影/石田寛

 2012年初頭、ウエストランドは『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)のオーディションをきっかけにして、現在のように井口がツッコミまくるスタイルの漫才を編み出した。だが、そこから破竹の快進撃とはいかず、このネタで挑んだ『オンバト+』(NHK)では連勝記録が途切れてしまう。

 「これもダメなのか」と考えていた同年6月、漫才協会主催の「漫才新人大賞」決勝に初めて進出。与えられたネタ時間は8分間だった。そんなに長尺のネタは手持ちがなかったので、井口がたくさんツッコむ漫才をここで再び披露する。大賞にも優秀賞にもひっかからなかったが、大会後、ある人物から太鼓判を得た。所属事務所の大先輩である爆笑問題太田光だ。

「爆笑問題が司会だったんです。終わった後にマネージャーから“感想を聞きに行け”って言われて。その頃は話したこともなかったし、“嫌だな、怒られたくないな”と思いつつ行きました。そうしたら太田さんが“面白いじゃん”って言ってくれたんですよ。それで“太田さんが面白いって言ってくれたんだから、いいでしょ”って思えるようになりました」