俳優・和田正人の活躍は幅広い。朝ドラ『ごちそうさん』ではヒロインにかなわぬ片思いをする幼なじみを熱演。陸上競技の経験から『陸王』(TBS系)ではベテランマラソン選手を演じたり、箱根駅伝のゲスト解説者を務めたりしている、俳優・和田正人さんの「THE CHANGE」-転機となった瞬間に迫る。【第3回/全4回】

和田正人 撮影/小島愛子

 和田正人さんは映画『オレンジ・ランプ』で貫地谷しほりさんとダブル主演を務めている。39歳で若年性認知症と診断された夫・只野晃一と、妻の真央という息の合った夫婦を演じていたふたりは、実力も折り紙つきだ。人気俳優である和田さん、貫地谷さんがどう撮影に取り組んだのか、当時のエピソードに迫る。

 和田さんは、貫地谷さんと夫婦役を演じるにあたって前もって準備をしたのだろうか。

「お互いに“こういうことをやろうね。”みたいなことは前もって段取りをしたとかはなかったです。

 貫地谷さんはたくさんの経験と実績を兼ね備えていて。以前大河ドラマが一緒で、実際どういう女優さんか現場でもどういう人間なのかということも知っていたので……現場の空気感とか自分の芝居に対して、包み込んでくれて受け止めてくれる人だということはわかっていたんです。

 若年性アルツハイマー型認知症になって、できないことが増えていく。貫地谷さん演じる真央としては違和感があり困ったことが増えて、どんどん距離が空いていく関係性になってきますよね。

 だからこそ、どんどん彼女を振り回していくことを僕は芝居でとても楽しんでいました」と、和田さんは貫地谷さんへの信頼感をあらわにする。