おとなのおもちゃ屋で凶器のムチを購入

 そんなダンプの“悪の象徴”は、竹刀だった。

「最初はチェーンを使っていたんだけど、途中でムチがいいかなって思ったの。それで、新宿の“おとなのおもちゃ屋にある”と聞いて行ったら、すぐに店員が“ダンプさんですよね?”と気づいてくれて。
 で、出てきたのが、先っちょにち●ち●の形をしたモノがついている“夜専用”でさ(笑)。“こんなのリングに持って言ったらヘンタイだって笑われちゃうよ!”って言ったら、4~5万円もする本格的なムチを取り寄せてくれた。確かにいい凶器だったんだけど、一度、ロープにぶつかって私の顔面にバシッと当たったら、これが痛いのなんの! それでイヤになって、竹刀を使うようになったわけ。
 あれもさ、根本部分の竹を広げて、テニスボールを入れておくと、組んだ竹が適度に膨らんで、いい音が出るんだよね。そうやって、1か月ぐらいかけて仕込むと、痛くて怖い、最高の凶器に仕上がるわけ」

ダンプ松本 ©石川真魚 

 当時は、まだ興行と裏社会の距離が近い時代だった。日本中を巡業していた全女でも、試合後にその土地を仕切るヤクザとの宴席が設けられた。そんな接待の場でも、極悪は人気を博した。

「特に北海道はさ、なぜか極悪の人気が高かった。宴席だけでなく、ある親分からは、宝石が入った24Kの金のネックレスをもらったよ。私はすぐに親分たちとも仲良くなっちゃうから、別に怖いこともなかったね。
 クラッシュは必ずマネージャーも一緒に行っていたらしいんだけど、私たちには“ダンプだったらヤクザ相手でも大丈夫だろ”って誰もついてこない(苦笑)。 
 たださ、どこでも肉を食わしたら喜ぶ、と思われているから、連日連夜、焼肉食べ放題なのには参ったね。1~2日はありがたいけど、3日目には“肉なんか食えるわけねーだろ!”。今、考えたら贅沢な話だけど」

極悪同盟の食事風景 ©双葉社