新川帆立は、綾瀬はるか主演の『元彼の遺言状』や坂口健太郎が主演した『競争の番人』などドラマ化された大ヒット作で知られる小説家だ。しかし、そのキャリアは尋常ではない。「小説家になる前に、経済的基盤を確保するために弁護士になった」という言葉のとおり東京大学に進学し、司法試験に合格。弁護士として法律事務所で勤務したのち、小説家になった。唯一無二の道を歩んだ理由と「THE CHANGE」に迫る。【第3回/全5回】

新川帆立 撮影/松野葉子

 新川帆立さんの新作『縁切り上等!-離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル-』では、モラハラ夫との離婚、熟年離婚、同性カップルの離婚、無自覚なDV加害者との離婚……一筋縄ではいかないさまざまなパターンの離婚が描かれている。依頼人やそのパートナーの言動がことごとく細やかなディティールでつづられ、読み進めるたびにドキリとする。

 たとえば、依頼人が夫の浮気相手を探るべく、ビジネス特化型SNS「Linkedin」にたどり着く……などなど。新川さんが弁護士時代に経験した離婚裁判から着想を得ているのかといえば、そうではないという。

「この小説を書くにあたり、SNSで“離婚”、“サレ妻”などのワードを検索しまくりました。するとわかってくるんですよね、“最近は、浮気相手との連絡ツールはカカオトークを使うらしい”とか」

 ネタ集めは、ツイッターがメイン。インスタグラムは、ちょっと違う。

「インスタはキラキラ加工されちゃっていて。離婚について書くとしても“私たちは別の道を歩むことになりました”とか書いてあるので、実態をつかみにくいんです」