小説家デビュー後におとずれた「ＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥ」とは？

「びっくりしたんです。私は小説を書くのが好きですが、自分のために、自分勝手に書いているんです。だから、私が小説を書くということが、人の役に立っているということを知り驚きました。“自分が、人のためにできることってあるんだな”と。文学フリマでは、その女性に限らず、いろいろな方からあたたかい言葉をいただき、“こんなことってあるんだ”とまた驚きました」

　新川さんにおとずれた「ＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥ」、それは「デビューした直後より、読者さんのことが好きになった」こと。読者に楽しんでほしい、幸せになってほしいと、素直に願うようになったそうだ。

　そんな新川さんにも、もちろん“読者時代”があった。

「宮崎出身なんですが、宮崎は東京に比べると刺激が少なくて、非常に退屈していました。そのうえ、友達はいましたが集団行動が得意ではなく、“学校、毎日楽しい！”というタイプではなくて。はっきり言うと、すごくイヤだったんですね、宮崎で過ごした日々が」　

「振り返ると、この時期が自分の人生のなかで一番辛かった」と新川さんが語る時期の救いは、読書だった。くすぶった現実を吹き飛ばす魅力が、読書にはあった。