御年83歳。NHK大河ドラマに、“大型時代劇”と呼ばれた第1作『花の生涯』から、これまで主演を含めて、実に11作に出演してきた石坂浩二。来年は、『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で12作目の出演を果たす。今年は映画も2本公開。趣味の広さや博識な姿で、俳優業以外でも知られ、「芸能界に石坂浩二あり」の存在だ。そんな大ベテラン・石坂さんのTHE CHANGEとは──。【第1回/全4回】

石坂浩二 撮影/有坂政晴

「たぶん、ご存じないと思うんですけど、私、小泉今日子さんのファーストコンサートの演出をやってるんです。台本も書きました」

 新作映画『海の沈黙』で、世界的画家・田村修三を演じ、小泉今日子さん演じる安奈と夫婦役を務めている石坂さん。そのことに触れた途端、いきなり冒頭の驚きのエピソードが飛び出した。

──そうなんですか!?

「小泉今日子さんの大ファンの方が書いている、彼女の歴史みたいなものの“コンサート一覧”を見ると、その第1回目のコンサートの演出が私ですよ。デビューから1年くらいのときです」

※小泉さんのデビューは1982年。「花の82年組」と呼ばれ、中森明菜、松本伊代、堀ちえみ、三田寛子、早見優、石川秀美、シブがき隊などの同期がいた。敬称略。
石坂さんプロデュースによる「消しゴムのない手紙」と題された小泉さんのファーストコンサートは1983年に全国4会場で開催された。

「デビューから1年くらいのときで、まだ今日子ちゃんは持ち歌がほとんどなかったんです。それで“どうしましょう”となって、結局、彼女の希望も聞きながら、アメリカの歌を3つか4つ歌うことになったんです。まだ家にテープが残っていると思いますよ。翻訳も私がしまして」