蜷川幸雄との出会いが人生の大きな転機に
批判に負けて絵葉書を捨ててしまうのは「オフィーリア役を演じている、自分自身を捨てているようでイヤでした」という篠原さん。鬼と恐れられる蜷川さんの厳しい指導にも、むしろ臆せずに向かっていったそうだ。
「蜷川さんって、動物的な人だなと思いました。稽古をつける側なのにセリフを覚えていなくて、“ナントカなんだよ!”みたいに突拍子もなく、彼の心が動いた瞬間にダメ出しをしてくる。そんなところが私には合っていて、次第に蜷川さんの求めることが、言われなくても理解できるようになりました」
ときには本気でぶつかり合ったこともあり、23年前の思い出を昨日のことのように、ていねいに語ってくれた。
「あるとき、蜷川さんに割り箸を投げられて怒られたんですが、たまたま稽古場で談笑していたのがイヤだったようです。私もやられたらやり返す性格なので“ちょっと笑っただけで演者さんの前であんな罵倒をされるなんて、もう恥ずかしくて明日から稽古に来られません”と言い返しました。
そうしたら次の日、問題の割り箸を“これ捨てるね”と恥ずかしそうに言う蜷川さんがいました(笑)。そんなフォローのやり方があるんだなって。お芝居への向き合い方も変わった一作です」
俳優業の現場で、蜷川さんほど演技論を戦わせた相手も初めてだったそうだ。
「役作りでもなんでも、本気で情熱を持って教えてくれる人に出会えることはまれです。積んできた経験を丸々ぶつけ合えば人生に変化が生まれますし、そんな体験ができる現場に飢えています。『見知らぬ女の手紙』でご一緒する行定さんにも、私に期待してくれているなというオーラを感じるので、どんな舞台を作れるか楽しみです」

篠原涼子(しのはら・りょうこ)
1973年8月13日生まれ、群馬県出身。B型。1990年、ユニット・東京パフォーマンスドールに加入。’94年に小室哲哉プロデュース“篠原涼子 with t. komuro”としてシングル「恋しさとせつなさと心強さと」をリリースし大ヒットを記録。’05年に主演を演じた、ドラマ『溺れる人』(日テレ系)で第31回放送文化基金賞演技賞を受賞し、以降『anego』(日テレ系)、『アンフェア』シリーズ(フジテレビ系)、『ハケンの品格』(日テレ系)、『オトナ女子』(フジテレビ系)、『イップス』(フジテレビ系)など多数作品に出演。’18年公開の映画『人魚の眠る家』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』では、高い演技力が評価され、第43回報知映画賞主演女優賞を受賞。2024年12月より舞台『見知らぬ女の手紙』公演が控えている。
●ワンピース:228,800円(税込)yoshie inaba(ヨシエ イナバ)
yoshie inaba(ヨシエ イナバ)03-6861-7678
●ネックレス:104,500円(税込)・指輪:550,000円(税込)マリハ
マリハ 03-6459-2572
●ベルト、靴:スタイリスト私物
●スタイリスト:ゴウダアツコ
●ヘアメイク:岡野瑞恵
【公演情報】
紀伊國屋ホール60周年記念公演 『見知らぬ女の手紙』
出演 篠原涼子 首藤康之
原作 シュテファン・ツヴァイク
訳 池田信雄
翻案・演出 行定勲
ステージング 首藤康之
企画製作 tsp Inc.
公演期間 2024年12月25日(水)~12月28日(土)東京・紀伊國屋ホール
公式HP https://tspnet.co.jp/mishiranu/