篠原涼子さんといえば、1990年代から音楽にドラマ、映画と幅広く活躍を続けてきたマルチアーティスト。今年2024年の12月25日からは舞台『見知らぬ女の手紙』(東京・紀伊国屋ホール)で濃厚なメロドラマの世界を表現していく。10代からいまに至るまで、多彩な人の生きざまを演じてきた篠原さんのTHE CHANGEとは。【第3回/全4回】

篠原涼子 撮影/有坂政晴 スタイリスト/ゴウダアツコ ヘアメイク/岡野瑞恵

 1990年代、東京パフォーマンスドールでの活動をきっかけに歌手そして俳優として芸能界に踏み出した篠原さん。だが当初は「お芝居は自分には向いていないんだって、ずっと思っていた」という。

「10代から少しずつドラマに出られるようになりましたが、当時は演技よりも歌がやりたくて、お芝居に対しては“私なんか”という気持ちもありました。悲しくないのに泣いたり、楽しくもないのに笑うなんて意味が分からない、と思っていたほどです」

 1994年には『恋しさと せつなさと 心強さと』がミリオンヒットを記録し、90年代後半には連続ドラマでの出演が続く中で、自信が芽生えてきた。

「25歳くらいのころでしょうか。出演したドラマの演出家とプロデューサーが、私の演技をほめてくれたと人づてに聞きました。当時は仕事で褒められたことすらなくて、それまでの人生で経験しなかったほどに嬉しかったことを覚えています。もちろん客観的には世間からいろいろな評価があったと思いますが、初めてポジティブな声を直接聞けたんです。褒めてくださる人がいるんだという実感が生まれて、もっとやってみようという気になれました」