小学校と同じコミュニティからなんとかして抜け出したいと思った

 アレン様は小学校6年間のことを「今思い返しても、まともな思い出って思い出せない」と話す。

「“小学校時代に楽しかったことは?”って聞かれたとき、“ない”って言うくらいの虚無感で暮らしていたんですよね。このまま公立中学校に進むと、また同じ人たちと3年間すごすことになる。9年間をドブに捨てることになると思って、すごい危機感を覚えました」

 自ら変えなければ、環境は変わらない。そう悟ったアレン様がたどり着いた「自分を変える手段」が、中学受験だったのだ。

「地元の公立中学から離れるために、中学受験することを決めたんです。だから塾に通いまくったんです」

 ふと、「これ、どこにも言っていないんだけど……」と、声を潜める。

「マンツーマン授業の高い塾でした。1回の授業料が8000円くらいなのかな? 親に出してもらっているし、それもあってプレッシャーだけは独り歩きするんだけど……塾に行くには行くんだけど……もうほとんど寝てたのね。子ガキがさ、必死に“中学受験したい”と言ったらさ、親は“行くな”とは言わないじゃない。応援してくれていたと思うんだけど、その応援をドブに捨てるくらいひたすら寝続けていました。そうすると、やる気がないから先生も見放すんですよね」