デビュー以来、さまざまなドラマ、映画、舞台で活躍している倉科カナさん。デビューから18年。出演した作品はあまりに多く、それぞれでさまざまな演技を見せ、ファンを魅了してきた。30代後半という年齢を迎え、俳優としてますますの活躍を続ける倉科さんのCHANGEを聞いてみた。【第1回/全4回】

倉科カナ 撮影/有坂政晴

 撮影中、倉科カナさんはこちらがハッとするような笑顔を見せたかと思えば、胸がギュッとなってしまうような切ない表情を見せる。まさに変幻自在、見る人を一瞬で引き込む、俳優の力だ。そんな現在の倉科さんに至るまでの、紆余曲折を聞いてみた。

 高校生当時、倉科さんは、現在も所属するソニー・ミュージックアーティスツのオーディションに自ら応募し、デビューを果たす。しかしその動機は、よく聞く「芸能界に憧れて」というものとはちょっと違っていた。

「そのころは、必要があってアルバイトを3つかけ持ちしていて、でも、すごくキツイという感じはありませんでした。私は我慢強いというか、限界を感じるのがみなさんより遅いんです。当時も淡々とアルバイトをしていたんですが、あるとき急につまらなく感じて、“もう疲れた!”って、環境を変えようと芸能界に挑戦しました」

 オーディションには一度、落選をしたものの、敗者復活を経てデビュー。劇的な流れだが、実際にはけっこう淡々としていたようだ。

「どうしても芸能界に入りたいというわけではなく、まだ見たことのない世界に行ってみたい、その選択肢のうちのひとつが芸能界だったんです。最初に落ちたときも、“そうか、落ちたか”ぐらいで、合格したときも“いまから初めて東京に行くんだ”とか、そういう感じでした」