1995年に『夢見る少女じゃいられない』で鮮烈なデビューを果たし、ボーカリストとして走り続けている相川七瀬。その一方で、3人の子どもたちを育てながら、45歳で國學院大學神道文化学部に入学。現在は同大学院生として民俗学の研究にいそしんでいる。パワフルに人生を突っ走る、相川七瀬のTHE CHANGEとは──。【第1回/全4回】

相川七瀬 撮影/冨田望

 2025年は、デビュー30周年、そして50歳の誕生日を迎える相川七瀬は、自身のこれまでを振り返ってこう言う。

「自分でも“よくやれたな、いまだったらできないな”と思うことがたくさんあります」

 そのひとつが、30代のときに執筆した小説『ダリア DAHLIA』(アスペクト)。
現世と前世が交錯するピュアなラブストーリーは、原稿用紙500枚に及ぶ長編だった。

「今年の夏、ふと目について『ダリア』を読み始めたんですけど、読みながら涙が止まらなくて……。我ながらよく書いたなぁ、頑張ったなぁ、という気持ちと、いまの私にはこんなにストレートな表現はできないという気持ち。書いていたときの自分の熱量を思い出して。12歳になる娘から“自分の本を読んで自分で泣いてるの?”と笑われてしまいました(笑)」

 書籍が世に出たのは’09年だが、構想はその10年前から相川の中にあり、’04年リリースのシングル『愛ノ詩―マジェンタレイン−』のカップリング曲として、同じ世界観の楽曲『ダリア−SheKnows Love−』が収められている。

「楽曲としての『ダリア』は、私が織田(哲郎)さんのプロデュースを卒業して、自分でやらなければいけないときに書いた歌なので、いわば”第二期・相川七瀬”の象徴みたいな作品だと思っているんです。
 ですから、この曲から第二期は始まったとも言えるし、それ以前から自分の中に小説『ダリア』の構想があったから生まれた曲とも言えるし……いずれにしても、あのころの私が表現したいもののすべてが『ダリア』だったし、あのときの私にしか書けなかったと思います」