「相川七瀬と申します……」観光課に直接問い合わせメールを送った
いまやライフワークとなっている“赤米(あかごめ)”という古代米と出会ったときのことも、「どうしてあんなことができたのか……」と、自分でも驚くことのひとつだという。
「2011年に、日韓友好コンサートで歌うために、長崎県の対馬市を訪れたとき、真っ赤な稲穂が風に揺れているのを見たんですね。なんてきれいなんだろう……と見とれていたら、ご年配の男性が通りかかったので“この田んぼ、どなたのですか?”と尋ねたら、“あそこの主藤さんだよ。行ったら話しを聞かせてくれるよ”とおっしゃるので、その日のうちにお宅に上がり込んじゃって(笑)」
主藤さんは快く相川をもてなしてくれ、“赤米”は1000年以上も前に大陸方伝わった稲の原種で、神事にも用いられる貴重な米であることや、徐々に栽培されなくなってきていることなどを話してくれた。
「対馬から返ってきても“赤米”のことが頭から離れなくて……。種子島や岡山でも栽培されているというのですが、どうやってコンタクトを取ればいいかわからないから、観光課のホームページに問い合わせのメールを送ったんです。“相川七瀬と申します。稲刈りなどの見学に行きたいのですが”って。どうしてそんなことができたのか、自分でも信じられないパワーです。」
受け取った観光課の職員の方は、さぞかし驚いたことだろう……。
「そのとき返信をくれた種子島の学芸員の方とは、いまでも一緒に活動をしていて、ときどき“あのときは本当にびっくりしたよ”と笑い話になっていますが、私があのときメールを書かなかったら、これほど深く”赤米”に関わらせていただくことはなかったと思うし、何が人生を変えるかわかりませんね」
そして、この“赤米”との出合いが、相川七瀬を新しい場所へと連れて行くことになるのである。
(つづく)
相川七瀬(あいかわ ななせ)
1975年2月16日生まれ。大阪府出身。1995年に、織田哲郎プロデュースによる『夢見る少女じゃいられない』でデビューし、大ヒット。『BREAK OUT』『恋心』『トラブルメイカー』とヒット曲を次々と世に送り出し、現在までのCDトータルセールスは1200万枚を超える。’20年に國學院大學神道文化学部を受験し合格。現在は同大学院に在学。’25年にデビュー30周年を迎えるにあたり、’24年11月6日にミニアルバム『SPARKLE』をリリース。
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