映画『クライマーズ・ハイ』での一途であるが故に心を病んでしまう新聞記者から、『踊る大捜査線』シリーズでの中国人刑事、はては映画『ひみつのなっちゃん。』でのドラァグクィーン……様々なキャラをこなし、見るものを魅了する俳優・滝藤賢一さん。最近ではCMでのコミカルなアナログ部長が印象的だ。最新出演作、映画『私にふさわしいホテル』では、文壇の大御所作家・東十条宗典を演じ、山の上ホテルを舞台に野心溢れる“新人作家”中島加代子(のん)と権威ある文学賞を巡る攻防を繰り広げ、新境地を見せる。そんな滝藤さんに俳優になるきっかけから“これから”も含めてのCHANGEを聞いた。【第3回/全3回】

滝藤賢一 撮影/北浦敦子 ヘアメイク/山本晴奈 スタイリスト/山﨑徹

「僕、20代は仕事がいただけなかったので、30代~40代半ばまでは、その反動とでもいうんでしょうか、働いてないと不安だったんです。そこが僕の強みだと思ってもいたんですけど」

 滝藤さんは現在48歳。俳優の世界には20年以上も身を置いているが、かつてはオファーが来たら誰にも渡したくないという気持ちもあり、徹底して受けるというスタンスを取っていたのだとか。

「どのチャンネル見ても出ている、誰よりも作品に出ていてどこにでも顔を出しているって思われるのが僕の武器であり、同時にひとつの目標だったんです。この世界はもうメチャクチャいい男だらけだし、個性的な人もいっぱいいるし、芝居が上手い人も山ほどいるので、そういうところでは勝負できない。じゃあ、オレはどこで勝負できるんだって言ったら圧倒的な仕事量……と、自分で思ったんです」