滝藤さんに“ふさわしい” 場所
日々の生活においてリフレッシュ──今回の映画に絡めてと自身に“ふさわしい” 場所というのがあるそうだ。
「自宅のバルコニーですね。大好きな植物がいっぱいあって、気付いたら一時間、二時間いるということはしょっちゅう。そこにいると仕事のことを忘れられて、無心になれるんです」
40代後半で、これから50歳に向けてどんな風に考えているのだろうか。
「僕はあと40年か50年はやるつもりでいるので、いまは丁度折り返しですよね。やっぱり存在で勝負できる俳優に、人間になりたいです。どうやったらなれるのかといってもわからないので、常に自分を疑って、考え続けて、もがき苦しむ……ということしかないように思います。最後の最後まで諦めないでもがく……ってことかな」
──満足していない、ということ?
「満足しないですよ(笑)。正解のない世界で正解を模索し続ける……この苦しさが仲代さんが仰っていた生涯修行に繋がっていくのかなって今思うんです。そんな仲代さんだって90歳を越えても、なお現役でもがき苦しんでお芝居をされているわけですしね。そういう意味では僕なんか、まだスタートラインにも立っていないんじゃないかって思うんです。いつスタートラインに立てるのかもわからないくらい。そもそもスタートラインに立てる日が来るんですかね(笑)。その日のためにも元気で立ち向かっていける精神と肉体は常に作っておきたいです」
生涯現役で悩み苦しみ続ける──そんなポリシーを貫きながらも滝藤さんはこれからも俳優の道を歩み続けて行くのだろう。
滝藤賢一(たきとう・けんいち)
1976年11月2日生まれ、愛知県出身。2000年『BULLET BALLET/バレット・バレエ』(塚本 晋也監督)で映画デビュー。映画「クライマーズ・ハイ」(08)で一躍脚光を浴び、以降 数々のドラマ、映画、CM 等で幅広く活躍。主な映画出演作に『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツら を解放せよ!』(10)、『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』(14)、『64-ロクヨン-前編/後編』(16)、『孤狼の血 LEVEL2』(21)、『ひみつのなっちゃん。』(22)、『ミステリと言う勿れ』(23)、『若き見知らぬ者たち』(24) 、主な出演ドラマには『外事警察』(09)、『梅ちゃん先生』(12)、『半沢直樹』(13)、『君と世界が終わる日に』(21)などがある。
(作品情報)
映画『私にふさわしいホテル』
原作:柚木麻子(新潮文庫刊)
監督:堤幸彦
脚本:川尻恵太
出演:のん 田中圭 滝藤賢一
田中みな実 服部樹咲 髙石あかり / 橋本愛 橘ケンチ 光石研 若村麻由美
特別協力:山の上ホテル
配給:日活/KDDI
2024年12月27日(金)全国公開
🄫2012柚月麻子/新潮社
🄫2024「私にふさわしいホテル」製作委員会
https://www.watahote-movie.com/