「僕の狙い通りだなと思いました(笑)」

――父としての印象的なヘルムのセリフはありましたか?

「ヘルムが、甥のフレアラフ(声:中村悠一)に怒る場面があるんです。 危うくヘラを敵に奪われかけて、殺されるところだったという時に、異常なほどの剣幕で怒鳴るのですが、僕も一人の父親として、“何が何でも、絶対に子どもたちを守る”という気持ちは分かりますね。

 それに、この後いい場面があるんですよ。“お前がそこまで強い娘に育っていたことを、私には見えていなかった”とか、そういうセリフの一つ一つがすごく染みますね」

――ご長男の優汰さんも同じ俳優の道を進まれ、舞台『オリバー!』(2021年)で初共演されています。最初に、俳優を目指したいと言われたときはどんなお気持ちでしたか?

「僕の狙い通りだなと思いました(笑)。子どもの頃から僕が出演している作品を見せて“いつかこの舞台の真ん中に立つんだぞ!”ということを彼が3歳くらいのころから言っていたんです。本人も、それは今でも覚えていると言っていました。

市村正親 撮影/三浦龍司