稲垣吾郎さんのテストカットでの演技に衝撃を受けた

 特にそれが顕著に現れているのが、会話のテーマのみ与えられ全編アドリブで会話が進む居酒屋でのシーン。斎藤さんが友人役のJOYさんらと4人で飲みながら会話を交わすのだ。

「このシーンは素というか、テーマだけがあって台本がないんです。だからこそ、フィルターとして“役”がないと、あまりにもほかのシーンとテイストが変わってしまうので、このシーンはそれ以外のシーンに落差がないようにしています。season1から思っていたんですが、このシーンは極力準備をしちゃいけないんだなということです」

ーー事前にJOYさんたちと打ち合わせしていないんですね。

「まったくないですね。今回はseason2から1年ぶりの撮影ですが、前回はseason1から4年ぶりで、会話は撮影本番でスタートして探り合いという感じでした。それで監督が“いい画が撮れた”と思ったら合図が来て、僕がトイレに席を立つという流れです」

 今回の居酒屋メンバーはシーズン1からのJOYさんのほか、前回から引き続きとなる眉村ちあきさん、そして初参加のかもめんたる岩崎う大さんだというから、会話は未知の転がり方を見せそうだ。

斎藤工 撮影/三浦龍司

 さらに、メインシーンでは稲垣吾郎さんの出演が発表されている。伊藤沙莉さんと斎藤さんに変化をもたらす重要な役だという。

「稲垣さんは出番がたくさんあるのに、スケジュールの都合上2日間くらいでギュッと撮りきらなければならず、本当にたいへんだったと思います。セリフ量も多いし、順撮りではないから結構な局面をいきなり撮らなければいけなかったり。俳優さんって、現場に入ってみないとわからないことのほうが多いと思いますが、稲垣さんは決してホームとは呼べない環境の中で立ち回ってくださいました」

 稲垣さん自身も出演に際して「連続ドラマの途中から参加するゲスト出演は意外と緊張する」とコメントしているが、そんな緊張感などまったく見せないどころか「凄まじい攻撃力だった」と斎藤さんは感嘆する。

「テスト撮影はほとんど一発本番みたいな撮影の仕方なんですが、吾郎さんがテストの段階で出してくるのが、予想の斜め上をいくような凄まじい攻撃力というか殺傷力を持った表現でした。僕らはそれに対して素のリアクションをしないように必死でしたね。本当に素晴らしくて、吾郎さんが帰ったあともリリーさんと沙莉さんとずっと“すごかったね”と話していた記憶があります」