年をとったら、はってでも外に出たほうがいい

 じゃあ、どうやって波をよけるか。70歳を過ぎて考えたのは人と会うこと。年をとったら、はってでも外に出たほうがいい。あんぱん買うだけでもいいじゃない。そこでお店の人と話すから。仕事でも、プライベートでも、明日会う人がいるってことは幸せなんだと思うな。

 結局、仕事も人生も、人との出会いがすべてなんだよ。ずいぶん昔、テレビ局の新人ディレクターに「いつか大将と一緒に仕事するのが夢です。それまで待っていてください」と言われたことがあってね。そしたら、30年もたった頃、ほんとに、彼から仕事の話がきた。こういうのって、すごく嬉しい。

 えっ、80歳を過ぎた今は何が大事だと思うかって? もっと素直になることかな。それとジャンケンはグーしか出さないことに決めた。だって、パーやチョキは手のシワが見えるでしょ。グーならシワが出ない。 だから、僕とジャンケンするときは、パーは出さないでね。

萩本欽一(はぎもと・きんいち)
1941年5月7日、東京都生まれ。高校卒業後、浅草東洋劇場の一座に加わり、芸能活動 を開始。66年に坂上二郎とコント55号を結成。その後人気番組を数々生み出し、「視聴率100%男」とよばれた。テレビ以外でも、クラブ野球チーム「茨城ゴールデンゴールズ」を結成し、初代監督に就任するなど幅広く活躍。現在ユーチューブ『欽ちゃん80歳の挑戦!』を配信中。