馬とともに体当たりで臨んだ、南相馬市での撮影
本番最終日には、馬と対面して涙を流すシーンも撮ったが、本当に心が通じたような瞬間すらあったと振り返る。
「ラストシーンを撮ったとき、いつも以上にカメラやガンマイクに囲まれたせいか、馬が怖がり砂浜に転がって、駄々をこねてしまいました。でも馬を扱えるのは、実際に接してきた僕だけなんです。だから演技以前に“この馬を暴れさせないように”というプレッシャーも感じていました。それでも撮り終えたときに、ニンジンを5本あげたら、馬が嬉しそうな顔になったことが忘れられないですね。撮影を終えて東京に帰るときは、馬が恋しかったです」
福島県には祖父母も住んでいて、幼いころは毎年訪れていた。
「地元のエキストラの方の協力なしには、できなかったドラマですね。乗馬の練習でも、手取り足取り親切に教えていただきました。僕は福島の方言を覚えていたので“こんな感じでいいですか?”って聞くと、もっとリアルな相馬弁の言い回しも教えてくれました。 都会で暮らしているとこんなに動物に触れる機会もなかったですし、馬への愛情と人同士の心の距離の近さ、どちらもステキであたたかい土地だなって感じました」