甘いフェイスから繰り出す、しなやかなダンス。FANTASTICSのリーダーでEXILEも兼任している佐藤大樹さん。俳優としても活躍が続くなか、福島で馬と一緒にカメラに向き合った。福島に移住した実在の人々をモデルにしているドラマ『風のふく島』(テレ東系)で主演し、新たな役柄を切り開いた佐藤さんの人生におけるTHE CHANGEとは。【第1回/全3回】

佐藤大樹 撮影/冨田望 ヘアメイク/大木利保(CONTINUE) スタイリスト/平松正啓

 すでに芸歴は11年におよぶが、笑うとあどけなさが溢れ、こちらを見据えて話す目に、引き込まれそうになる。そんな佐藤さんが『風のふく島』で演じるのは、馬に魅せられて南相馬市に移住した青年・中村優神(ゆうしん)だ。馬術競技で日本一にもなった中村は、就職を蹴って「馬の社会的地位を上げたい」という意思を抱き、馬とともに生きる生活が根付く、南相馬市へ移住するが、数々の困難にぶつかっていく。

「実際に南相馬市に行って、馬の事業を立ち上げた(中村優神の)モデルとなった方とお会いしました。そのとき、その方の“何か根拠がなくても一歩を踏み出せるポジティブな人柄”が、過去の僕とすごく似ているなと感じたんです。その方や優神にとっての馬の事業が、僕にとっては“ダンス”でした。16歳でダンスを始めて、“絶対EXILEのメンバーになる”って目標を掲げていました」

 作品では、プロさながらに馬を乗りこなすが、世話をするのも初めて。「相馬野馬追」(※)が根付く南相馬で、文字通り人馬一体を目指しての役作りが始まった。
※福島県の相馬地方で3日間にわたって行われる祭典で、国の重要無形民俗文化財に指定されている(相馬野馬追公式ホームページより)。

「馬は、ストレスを感じやすい繊細な生き物なので、乗った後、必ず首をたたいてほめてあげました。馬の気持ちが和らいで、馬自身が“今のでよかったんだ”と思ってくれるんです。練習を重ねて、つらい思いをさせちゃったときは“よく頑張ったね”と、よりいたわる気持ちを込めてなでました。本番以外の場面でも毛並みを整えてあげて、距離感を縮めていました」