新鮮で楽しかった熱量の高い同世代との現場
映画主演という経験が与えてくれたこととは。
「本当にたくさん学ばせていただきました。まず、周りの環境にすごく恵まれた現場だったので、スケジュール的には大変だったんですけど、気持ち的には楽しかったです。みんなが相談に乗ってくれたり、アイディアを出しながら進んでいったので。
撮影が終わった後も監督と智樹と私と颯太(役の桑山隆太)で食事しながら語り合ったりもしたんです。本当にみんないい意味で超変態だなって思ったのが、撮影してない食事の時間でもまだ役のこと話してるんですよね(笑)。でもそのぐらい真剣に取り組んでるんだというのを感じられて感動しました。確かに思い返してみれば、私もプライベートでもタレントの友達とご飯食べながら仕事の話しちゃってるな、って思うんですよね。だから、彼らにとってはここが戦う場所だから、そういう話になるよなと思って。それがすごく新鮮で楽しかったです。
私もその場で“何か別のこと話そうよ”という気には全くならなかったし、むしろ“日名子(村重さんの役名)ってここどういう感じなんですかね?”とか、智樹も“日名子は結構俺のこと好きだと思う”とか、“もっとマイ(吉田怜香さんの役名)に嫉妬心むき出しでもいいんじゃないかなと思ってる”みたいな話を語り合うのが楽しかったんですよね。それがきっかけで、またより一層作品に力を入れられたし、そういう時間があったのは大きかったなと思います」
初めての映画作品が熱量の高い同世代との現場になったのは大きかったという。
「こんなふうに作品に真剣に向き合ってる方たちと一緒になれることで、私もチョケずに済んだというところはありましたね。あと、できないことはできないってしっかり伝えられたし、わからないこともたくさん相談できました。
正直に言うと、私はよそ者だと思われてるんだろうなって思ってたんです。でも、そんなことを思ってたの自分だけで、みんなはすごく受け入れ態勢で迎えてくれて、なんか変な壁作っちゃってたのは自分だったな、自分って馬鹿だなって思った現場だったんですよね。そういう面では、今回のチームに出会えてよかったなって思いますし、そのみんなで作り上げた作品をぜひ多くの人に観ていただきたいな、って素直に思います」
映画という新しいフィールドに踏み込んだ村重さん。アイドルから始まったこれまでの芸能ヒストリーも次々に新しいことに挑んできた。その中で転換点となったのはどの時点だったのだろう。
(つづく)
村重杏奈(むらしげ・あんな)
2011年、HKT48の1期生オーティションに合格。父か日本人、母かロシア人というハーフアイドル、 家ではロシア語も話し日常会話も完へきにこなすというバイリンガル。2021年12月にHKT48を卒業。持ち前の明るい独特なポジティブなキャラクターを生かしてバラエティからワイドショーまで出演の幅を広げて活躍。またハーフならではの、容赦を生かしてモデルとしてもファッション誌やイベントでの活躍も注目が集まる。
(作品情報)
『悪鬼のウイルス』
プロデューサー:山本清史 監督・編集:松野友喜人 脚本:山本清史、小田康平
VFX:Double Slit 音楽監督:Jun Goto
原作:二宮敦人「悪鬼のウイルス」(TO文庫刊)
主題歌:「アイのウイルス」高嶺のなでしこ(ビクターエンタテインメント)
2025年/日本映画/99分/スコープサイズ/5.1ch
©2025二宮敦人・TOブックス/映画『悪鬼のウイルス』製作委員会
配給:イオンエンターテイメント PG-12
www.demon-virus.movie