映画デビュー作『ソロモンの偽証』(2015)における2か月での15キロの体重増というストイックな役作りに始まり、愛らしい笑顔の奥に揺るぎない芯を感じさせる富田望生。2作目のNHK連続テレビ小説出演となった『ブギウギ』でも、個性の強い、主人公スズ子の付き人・小夜を演じ切った。まだ20代半ばながら高い演技力と存在感を放ち続ける富田さんのTHE CHANGEとは──。【第1回/全4回】
1995年(平成7年)1月17日、5時46分52秒。明石海峡を震源とするマグニチュード7.3の大地震が発生した。地震から30年となる2025年1月17日、映画『港に灯がともる』が公開される。主人公は阪神・淡路大震災の翌月に神戸市長田区で生まれた、在日コリアンの女性・灯。演じる富田さんは、福島県いわき市出身。2011年の東日本大震災で被災している。
──オファーから役を引き受けるまでに、2~3週間の考える時間があったそうですね。
「初めて企画書を目にしたときから、きっとお受けするだろうと思ってはいました。ただ、『心の傷を癒すということ』と同じ制作陣の方々がつくられるということで、“どれだけの思いで、この作品を映画として残すのか”という熱意に、私が追いつきたかったんです」
※『心の傷を癒すということ』・・・自身も阪神・淡路大震災に被災しながら、被災者の心のケアに努めた精神科医・安克昌氏をモデルにしたヒューマンドラマ。阪神・淡路大震災から25年を機に柄本佑主演によりNHK大阪放送局で制作され、2020年のドラマ放送後、翌年、再編集した劇場版が公開された。