〝モモ子シリーズ〟ではソープ嬢役に挑戦
その『北の国から』テレビシリーズの直後に出演したドラマ『十二年間の嘘 乳と蜜の流れる地よ』から8回に渡って放送された“モモ子シリーズ”も忘れられない作品。当時“お嫁さんにしたい女優ナンバーワン”と言われていた竹下が、なんとソープランド嬢を演じるということで大いに話題になった。
「市川森一先生の脚本で、演出はTBSの堀川とんこうさん。わたしとは正反対の、文字通り身体を張って生きているモモ子という役と出会えたことは、とても嬉しかったし、俳優として大きな転機だったと思います」
竹下はドラマや映画はもちろんだが、舞台にも精力的に出演してきたが、ここでも大きな出会いがあったという。
「2007年に「あうるすぽっと」という、池袋の劇場のこけら落とし公演『海と日傘』に参加させていただいたのですが、このときに演出をしてくださった文学座の高瀬久男さんからは、改めて舞台でのお芝居を丹念に教えていただきました。高瀬さんはお若くして亡くなられてしまったので、もうご一緒することはできないのですが、あのとき教えていただいたからこそ、今も舞台に立ち続けているのだと思っています」
2025年は、2月15日から上演する―サイモン・スティーヴンス ダブルビル― 『ポルノグラフィ/レイジ』の稽古でスタート。毎年、年に数本の舞台に出演し続けているが、竹下景子にとって舞台の魅力はどこにあるのだろう?
「これは、演出家の佐藤信さんがおっしゃっていたことなんですけど、お芝居って幕が下りると何もなくなってしまう、はかないものなんですよね。でもだからこそ、その一瞬一瞬にかける思いがあるんです。そして、お客さまとご一緒だからこそ作り出される空間というのが、演劇の素晴らしいところだと思います。俳優が舞台上から発信するものを、お客さまは受け取るだけでは無く、共通の体験として感じていただけたら、こんなに嬉しいことはありません」
(つづく)
竹下景子(たけした・けいこ)
1953年9月15日生まれ。愛知県出身。高校生時代からテレビドラマに出演し、1973年にドラマ『波の塔』(NHK)で本格デビュー。映画『学校』で第17回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。舞台『朝焼けのマンハッタン』、『海と日傘』で、第42回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。近年の主な出演作は、舞台『まるは食堂 2024』(24年)、『Silent Sky』(24年)、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』(21年)、ドラマ『風間公親−教場0−』(23年)、『離婚しようよ』(23年)、映画『君たちはどう生きるか』(声の出演/23年)など。
●作品情報
サイモン・スティーヴンス ダブルビル
『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』
東京公演:2025年2月15日(土)〜3月2日(日) シアタートラム
作:サイモン・スティーヴンス
翻訳:小田島創志(『ポルノグラフィ』)、髙田曜子(『レイジ』)
演出:桐山知也
出演:亀田佳明 土井ケイト 岡本玲 sara 田中亨
古谷陸 加茂智里 森永友基 斉藤淳 吉見一豊 竹下景子
スウィング:伊藤わこ 森永友基
公式サイト: https://setagaya-pt.jp/stage/16041/