監督とともに、主人公“池永柊夜”をつくり上げていった

──監督は、現場ではどんなコミュニケーションを?

「毎朝、監督とメイクルームで“今日はどう思う?”と打合せをするのが日課でした。そのときに僕も、役のプランを練った上で撮影現場に入れたので、本番前に慌てないで自分のペースで演技に入っていくことができて。監督がこんな風に、役に集中できる現場を整えてくれました」

 はじめは序列を面白がっていた2年D組だが、1位の姫山椿(堀未央奈)が突然自殺してしまう。そして彼女の葬儀後、クラスメイト全員の机の上に、亡くなったはずの彼女から遺書が届く。疑心暗鬼のムードが漂うなか、24人全員が自身に宛てられた遺書をクラスメイトの前で公開していく。

──撮影現場の雰囲気は?

「撮影が進むごとに、どんよりしていきました(苦笑)。みんなが遺書を読み上げる教室のシーンって、ずっと薄暗いんです。ストーリー的にも、クラスメイトの裏の顔がどんどん明らかになっていって、ドロドロした本音をぶつけていくから、明るかった表情が、どんどん暗い顔になっていくんですね。でもその分、緊張感が増した状態で、集中してクライマックスに入れました。
 普通、映画の現場って初対面が一番緊張していて、そこからどんどん打ち解けていくんです。それとは真逆の現場だったのは、稀有な体験でした」

吉野北人 撮影/有坂政晴