自分の弱さみたいなものを認められるようになった
ーーどんなことがあったんですか?
「演じたヒロインの雪歌の気持ちが、どうしても分からないシーンがあって、それは今まで自分が傷つかないように自分の気持ちとあまり向き合わずに来た、いわば“ズルい生き方”をしてきたからだと思ったんです。そのことを監督に話したら、“(関水さんの生き方や考え方は)ズルくはないですけどね”って言ってもらって。その瞬間、何かが吹っ切れた気がして。ズルくなかったんだって」
ーー自分を許せるように?
「はい。自分を受け入れてもいいのかなって。それによって、自分の弱さみたいなものを認められるようになった。それと同時に、自分自身を見つめられるようになりました。
そう考えるようになったら、自分を責める気持ちをコントロールすると楽に生きられると分かったし、コントロールしたこの気持ちの起伏は仕事のときに使おう、生かそうって思うようになりました」
ーーご自身の見方が変わったことで、他の人の見え方も変わったりしました?
「相手の価値観を認められるようになった気がします。例えば自分を肯定してくれない言葉をかけられたりしても、以前だったら怒っていたかもしれないことで怒らなくなった。“そういう考えもあるんだな”と思えるようになりました」
(つづく)
関水渚(せきみず・なぎさ)
1998年6月5日生まれ、神奈川県出身。2015年の「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストに選ばれ、芸能界入り。19年6月公開の映画『町田くんの世界』のヒロイン・奈々役で俳優デビューし、「第62回ブルーリボン賞新人賞」をはじめ数々の新人賞を受賞。その後も多くの作品で主演やヒロインを務める。