長年そばにいる周囲の人間が気が付いた、北乃の変化とは
──そんな中で、２０年続けてこられたお芝居の現場で、変化を感じたことはありますか？
「自覚はなかったんですが“丸くなったね”と言われることがありました。１０代のころからずっと見てくださっているメイクさんからも“昔はもっと堅かったよね”と言われました。
変に真面目なところもあって、お芝居の現場ならちゃんと人の意図を聞いて作っていきたいんです。自分から提示すると、全部同じ役になっちゃう気がするから。だから全部任されるよりは監督やプロデューサーと何でも話し合うやり方が好きなんですが、それがちょっととがっているように見えたのかも」
──それは何かきっかけがあったというより、少しずつ変わってきた、という感覚でしょうか。
「そうですね。３０代になって少しは柔らかくなったかなと思いつつ、真面目なせいで柔軟に対応ができないし、根本的には面倒くさい人です（笑）。臨機応変なことも苦手な分、求められたことには忠実に仕事をしていく、その積み重ねで、気づけばここまで来れました」
横須賀での少女時代から、俗世のねたみややっかみとは無縁で生きてきた人生を話してくれた北乃。そのピュアさは、何歳になっても輝きを放っていくだろう。
北乃きい（きたの・きい）
１９９１年３月１５日生まれ、神奈川県横須賀市出身。２００５年にスカウトされ芸能界デビューし、同年「ミスマガジン２００５」グランプリを獲得。２００７年にはドラマ『ライフ〜壮絶なイジメと闘う少女の物語〜』（フジテレビ系）で連続ドラマの初主演を務める。翌２００８年、主演映画『幸福な食卓』（２００７）で第３１回日本アカデミー賞 新人俳優賞ほか複数受賞。その後も映画では『上京ものがたり』（２０１３）『僕は友達が少ない』（２０１４）などで主演を重ね、『ザ・テノール 真実の物語』（２０１５）で第２０回ミラノ国際映画祭 最優秀助演女優賞にノミネートされるなど、演技を評価されている。
