14歳でデビューしてから今年で20周年。しなやかに役者を続けてきた北乃きいだが、誰かにライバル意識を抱いたり、嫉妬にかられたことはないという。また、いまでも芸能界の外でかなえたい夢があると話す、自分を見失わずに生きてきた北乃のTHE CHANGEとは──。【第4回/全4回】

北乃きい 撮影/有坂政晴

 競争の渦巻く芸能界で活動を続けて20年になるが、「プライベートでも、誰かに嫉妬したりライバル心を抱いたことはない」という北乃。そんな生き方の原点は、祖母の教えだった。

「生きていると、いろいろな人が競争をあおって発奮させようとします。テストで0点を取れば“0点取ったのはおまえだけだぞ”って。でもそんなときでも“0点取ったの私だけ? やった~!”って喜ぶような子でした(笑)。たぶん、ちょっと風変りな性格は『風のふく島』での三咲と似ていますね」

──競争にこだわらないところは、昔から一貫しているんですね。

「祖母が戦時中に多感な時期を過ごした古い気質の人で、よく“うらやましいって、絶対に言ってはいけないよ”と聞かされて育ちました。いま思うと、その影響が大きかったです。だから私も“うらやましい”って言ったことはないですね」

──そのおかげで、他人との比較とも無縁でこられたと。

「無意識に影響は受けてきたと思います。今回一緒になったマイカ・ピュちゃんからも、ベテランの俳優さんからも、すぐ“すごい”って良い所を見つけて好きになります。でもそれが、憧れやロールモデルに昇華していかないんですね。取材の場でも“私には私にしかできないことがあると思います”って言ったことがあります」