新喜劇の「壁ぶつけ」で珠代さんが変えたこと

 珠代さんの「壁ぶつけ」は歴代の「壁ぶつけ」とは一味違っていたという。

「最後ワチャワチャとなって、かわい子ぶった私がツッコまれて、壁にぶつけられるんですけど、歴代の人たちはぶつかったらそのままだったんですけど、もうだんだん女性もいっぱいボケていいし、女性も前に出ていい時代になっていたので、ぶつかった後に“優しいのね”っていうのを付けてみんなでコケてもらう、という形にさせてもらったんです。それは、ちょっと改革というか“CHANGE”だと言われました」

 約30年にわたり新喜劇でギャグを届け続ける珠代さん。激しく変化する笑いの世界の中でで、今の若い世代にもウケ続けているのは、どんな秘訣があるのだろうか。

「若い頃から流行りものがあんまり好きじゃなくて、今日着てるこの服も21歳のときに買ったものなんです。だから、笑いに関しても今これが流行っているからこうしよう、この用語を使ってみよう、みたいなことはあんまりないんですよね。ブレたくないというか、自分じゃないとわからない感覚というのは大事にしたいなと思っています」

 子どものころの感覚から、基本的にブレずに向き合ってきたと話す珠代さん。そのスタンスが世代を超えて愛される秘訣のようだ。

(つづく)

島田珠代 撮影/杉山慶五

しまだ・たまよ
1970年5月10日生。大阪府吹田市出身。17歳当時、『4時ですよ~だ!』の出演をきっかけにピン芸人として吉本興業に所属。20歳で吉本新喜劇の座員になり、現在にいたるまで劇場で活躍している。