キャリアのスタートとなった作品『あぐり』の思い出
俳優・田中美里のキャリアのスタートはNHK連続テレビ小説『あぐり』。デビュー作ということで“不安もあったのでは?”と尋ねると、むしろ目の前の撮影に必死に向き合った9か月だったと答えてくれた。
「当時の映像を見返すと、“今の経験を経て、もう1回やりたい”という思いも生まれるんですけど……。怖いもの知らずで、演技とは何たるかもわからずにやっていたからこそ撮影を乗り越えられた面もあると思っています。いろんなことを学んでから、あの表情を出そうと思っても、出ないような表情はたくさんあるので、当時の必死さが良かったのかも、と。そういう意味では、撮影の9か月は、失礼かもしれないですけど、私にとっては仕事で撮影現場に行くというよりは、NHKという大きな学校に通ってるような感じもあって、周りの全員が先生、みたいだったなと思います。かけがえのない時間でした」
「学校のようだった」という朝ドラの現場。共演者からの支えがあって乗り越えられたと話す。しかし、その「学校」を卒業してから俳優としての新たな道を模索する日々はつらさを伴ったとも……。
(つづく)
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たなか・みさと
1977年2月9日生、石川県出身。96年に「第4回東宝シンデレラオーディション」で審査員特別賞を受賞。
翌97年、NHK連続テレビ小説『あぐり』で主演をつとめ、好評を博す。
その後、ドラマ・映画・舞台に多数出演。また韓流ドラマ『冬のソナタ』で
チェ・ジウ演じるヒロイン、ユジンの吹き替えを務めたほか、
柔らかく印象的な声を生かしてナレーターやラジオのパーソナリティーとしても活躍している。
さらに2019年の春、自身がプロデュースする帽子ブランド『ジンノビートシテカッシ』を立ち上げた。
『美晴に傘を』
監督:渋谷悠
出演者:升毅 田中美里 日髙麻鈴
和田聰宏 上原剛史 井上薫 阿南健治 宮本凜音
全国公開中
https://miharu-movie.com/