「役者という仕事は自分との戦いでもあると思う」

――若い時は気持ちも大きくなりがちで、「自分はできる!」と少し粋がるようなこともありますが、松下さんはいかがでしたか?

「僕も鋼太郎さんからその言葉をいただくまでは、根拠のない自信があったり、少し気が立っていたりした時期もありました。でも、役者という仕事は自分との戦いでもあると思うので、“自分はできるんだ”という気持ちがないとこの仕事をしてはいけないと思うんです。

 自分に負けない強さを持ちつつ、“自分には何もない”と素直に認めることと“ちゃんとできる自分”をバランスよく共存させることが大切だなと思っています」

――「何もない自分」を知ってしまったが故の不安との闘いもありますよね。

「もちろん、その不安もありますが“何もない”からこそ、新しい自分を見つけることや、一段階段を上った自分を見てみたいといった、ポジティブな意味合いに捉えることもできる言葉だなと思います。