松下さん自身は「あまり器用な人間ではない」

 僕はあまり器用な人間ではないので、何をするにも不器用ながらに取り組むことの方が多くて。その度に“あぁ、自分には何もないな”と思うことがあります。だからこそ、何か一つ手にして持ち帰りたいなと思うんです。

 僕たちの仕事は、職場や人間関係がコロコロと変わるので、限られた時間、限られたメンバーで、何か一つでいいから、仕事でもプライベートでもこれからの自分に役立つものを持って帰りたいなと思っています」

――“THE CHANGE”という媒体名にかけて、ご自身の生活の中で最近起こった発見や変化を教えてください。

「僕の部屋には植物がたくさん置いてあるのですが、その中のメラレウカ・レッドジェムという植物が冬場にちょっと枯れてしまって、諦めかけていたんです。それが暖かくなったせいか、急に小さな芽を出してくれまして! 見つけた時は本当に嬉しくて、今は小さな命を絶やさないことに必死です(笑)」

松下洸平 撮影/有坂政晴

「その芽を見つけたことで、もう春なんだなという季節の移り変わりにも気づきました」と言って小さく笑う松下さん。ささやかな変化も見逃さずに小さな春の息吹を愛しむ。そんな日々の気付きや日常を丁寧に過ごすことが、松下さんの土台を作っているのだろう。

取材・文/根津香菜子

まつした・こうへい
1987年3月6日、東京都生まれ。2008年に、洸平名義でシンガーソングライターとしてデビュー。翌年より俳優活動を始め、NHK連続テレビ小説「スカーレット」でヒロインの夫、八郎役を務め人気を博す。近年の主な出演作にドラマ「最愛」、「放課後カルテ」、大河ドラマ「光る君へ」、映画「ミステリと言う勿れ」、舞台「母と暮せば」、ミュージカル「ケイン&アベル」などがあるほか、26年放送のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」では徳川家康を演じる。

『松下洸平 じゅうにんといろPart.1/Part.2』(朝日新聞出版)
定価:1,870円(税込)
発売日:2025年3月17日(月)
サイズ:A5判並製 /240ページ