フリーアナウンサーの堀井美香さんがTBSを退社したのは昨年、50歳の時。ニュースやナレーションなどで安定感のある読みを見せる一方、永六輔さんや久米宏さん(78)など、ラジオの名パーソナリティたちのアシスタントでは天然な性格がたびたび披露され、多くのリスナーから愛されていた堀井さん。女子アナブーム真っ只中で入社してから、現在のフリーに至るまで、女性アナウンサーとして体験してきた「CHANGE」を聞いてみた。

堀井美香 撮影/三浦龍司

いきなりバラエティ番組に

 堀井美香さんがTBSに入社したのは1995年。女子アナブームも落ち着きを見せ始めた頃だったが、まだ新人女性アナウンサーをアイドル的に扱う流れはあり、堀井さんもその流れに巻き込まれていった。

堀井「物事がわかっていませんでしたね。自分がどういう状況にいるのか、そこでなにをすべきなのかが、混乱の中で理解できていなかったんです。それまでの大学生から、まわりの環境が一気に変化してしまって。とにかく偉い人にこうしたほうがいい、これをやったらいいと言われて舞台を用意されて、でも自分自身はまったくついていけていませんでした」

 堀井さんが入社1年目につけられたのが、とんねるずが出演するバラエティ番組の『ねる様の踏み絵』。そして翌年には情報番組『王様のブランチ』で進行も任されていた。番組ラインナップを見ても、TBS側が堀井さんに力を入れていたのがわかる。

堀井「とんねるずさんとか秋元康さんとか美輪明宏さん(88)とか、1日で一気に目の前に現れるわけです。憧れのあの人に会えたとかそういうのはなくて、なんかもう感覚が麻痺していましたね。言われたことをひたすら、やりこなしていく感じでした」