アウトプットが多過ぎて、インプットが間に合わなかった

──辞めたいと思っていた、というのは?

「芸能界でずっと生きてきて、他になにかやりたいことはないのかとか。16歳から入ったので、周りの社会人の友だちがすごくしっかりして見えていた時期だったんです。自分の名前はたくさん知ってもらったり、お仕事のキャリアは確実に重ねられていて、仕事自体の苦労は逆に少なくなってきた時期だったんですけど、人としてもうちょっとちゃんと生きられるようになりたいって思ったんです。自分の知らないことを今知らないと、30歳になってからでは遅い気がするって。たぶんアウトプットが多過ぎて、インプットが間に合わなかったんでしょうね。それで、どうしても外に出たくなって、留学というカタチで仕事から離れたんです」

 向かった先はアメリカ。

「ロサンゼルスは日本人が多過ぎて遊びそうだなとか、ニューヨークは少し過酷そうだなとか、ボストンはちょっと堅い土地だから危ないかなとか色々考えた挙句、最初はサンフランシスコに行きました。でもサンフランシスコに居たのは2か月半ぐらい。そこからは、一人旅をしていたんです。ボストン、カナダ、それからスペインへ行って、イギリスにも行きました。アメリカ圏を中心にウロウロして半年ぐらい旅してましたね」

 危ない目にも遭った。

「最初に行ったサンフランシスコは治安も悪くて、ホームレスの暴行事件が周りで起こったり、発砲事件やバスのストライキに遭ったりもしました。ボストンではけっこう人種の違いを目の当たりにして、知らない人から強くて嫌な言葉を突然叫ばれたりして怖いなって。この世界の現実を体感しました」