やって良かったなって思えることがたくさん
──そんな怖い目に遭って直ぐにでも帰国しようとは思わなかったんですか?
「逆に、“面白い!”と思っていました(笑)。自分は社会人で、自分のお金でここに来ているけど、留学中はなるべくお金を使わないで、本当に必要最低限のモノだけで生きていこうということを自分に課していました。そんな生活をしていたら、そのうち靴がボロボロになり過ぎちゃったんです(笑)。それでスニーカーを買いに行ったんですけど、英語もそれほど達者ではなかったので、お店に入ってもなかなか買えなくて……。そんなことを2、3回繰り返していたら、お店のオーナーのおじさんにもすごく変な目で見られてしまって。それで、4回目に入った時に、もじもじしながら“いま一生懸命言葉を勉強中で……”みたいなことを意を決して話したら、“この前も来てたね。気になっていたんだよ。君の目の色すごく良いね”って言われたんです。“え~すごく優しいじゃん”って。すごく蔑視されて嫌われてているのか、と思っていたけど、自分からコミュニケーションを取れば良いだけの話だったのかなって思ったんです」
留学していた当時の思い出を喜々として話す表情から、この時の経験が相武さんにとっての大きな「THE CHANGE」だったことが窺える。
「最初の頃はスーパーでピザ買うだけでもドキドキしていたんですけど、仲良くなればすごく優しくしてくれる人もいたり、カフェでは名前も憶えられたり。そんなことをサンフランシスコでは体験したんですが、やって良かったなって思えることがたくさんありました」
半年間の海外留学を終えて帰国した相武さんは仕事に復帰し、俳優として再び輝きを放つようになる。そして2016年に結婚。2017年に第一子、2020年には第二子を出産し、2児の母としての顔も持つ。
(つづく)
相武紗季(あいぶ・さき)
1985年6月20日、兵庫県生まれ。O型。2003年、ドラマ『WATER BOYS』で俳優デビュー。翌2004年に出演した「ミスタードーナツ」のCMが話題になる。以降、多くのドラマや映画に出演。最新作にNHK朝ドラ『おむすび』、『リバーサルオーケストラ』、『ラストマン‐全盲の捜査官‐』など。
【作品情報】
ドラマプレミア23『夫よ、死んでくれないか』
毎週月曜、夜11時6分よりテレビ東京系にて放映中。
原作:丸山正樹『夫よ、死んでくれないか』(双葉文庫刊)
主演:安達祐実 相武紗季 磯山さやか 竹財輝之助 高橋光臣 塚本高史
脚本:的場友見
監督:佐藤竜憲 進藤丈広 柿原利幸
(c)「夫よ、死んでくれないか」製作委員会
公式サイト: https://www.tv-tokyo.co.jp/otoshine/