フリーアナウンサーの堀井美香さんがTBSを退社したのは昨年、50歳の時。ニュースやナレーションなどで安定感のある読みを見せる一方、永六輔さんや久米宏さん(78)など、ラジオの名パーソナリティたちのアシスタントでは天然な性格がたびたび披露され、多くのリスナーから愛されていた堀井さん。女子アナブーム真っ只中で入社してから、現在のフリーに至るまで、女性アナウンサーとして体験してきた「CHANGE」を聞いてみた。

堀井美香 撮影/三浦龍司

結婚・妊娠の余波

 TBSの新人女性アナウンサーとして華やかな世界で活躍していた入社2年目、堀井美香さんは結婚をする。そしてその翌年に出産。堀井さんは結婚も出産も、ごく普通のことと考えていたようだが、周囲はそうではなかった。

堀井「結婚した、妊娠した。秋田の田舎ではおめでとうって感じだったんですが、会社的にはそうではなかったのだと思います。それを知ったのは妊娠して、ちょっとお休みさせてくださいって、上司に伝えたときですね。堀井をこうしようと思っていたとか、こういう予定で動いていたとか。空いた枠に誰かを入れなきゃならないとか、いろいろな話が耳に入ってきて、私は迷惑をかけてしまったんだって」

 当時は今ほど、女性が働く環境が整えられていなかった。祝福されるべき妊娠なのだが、それが負担となってしまう場面は数多くあったのだ。

堀井「その頃は大企業にキャリアとして入った女性は、10年、15年働いてキャリアを築いてから結婚というのが、普通だったのかもしれません。でも私は入ってすぐ結婚、出産となったんで、社会人としていけないことをしているんだとか、全部がマイナスに思えてきてしまって」