これからの朗読会
朗読とともに、堀井さんの仕事の柱になっているのが、ナレーションだ。しかしその読む仕事はAIの進化により、じょじょに機械に置き換えられている。そのことについては、どう思っているのだろうか?
堀井「音声プラットフォームに携わっている人に言われたんです。堀井さんの声を2時間ぶんいただければ、どんなナレーションも作れますよって。自然な会話の“えー”とか“でね”みたいな部分も、全部、作れるんですよ。ニュースだけじゃなくて、ラジオドラマも作れちゃいますよね。だから、アナウンサーがやっている仕事って、どんどん減っていくだろうなとは思います」
自分の仕事の危機でありながら、冷静に分析をする堀井さん。機械ではできない、仕事の方向性が見えているようだ。
堀井「今は規模の大きい朗読会とは別に、北海道とか四国とか田舎に行って、小さい子どもたちの前で絵本を読むこともやっているんですよ。町の防災無線で“この後、堀井美香さんの朗読会です”なんて、流される感じの朗読会を。SNSとか、デジタルとか、全然、関係ないところでやっている活動。きわめてアナログな、私がそこにいて目の前で読んでいることに価値があるような、そういうことをやっていきたいですね」
AIでは置き換えることのできない、生身の強さを目指す。堀井さんは、新たな境地を目指しているのだ。