釜石ラーメンは毎日食べても飽きない!

ーーそんな映画の舞台は岩手県釜石市のラーメン店。東日本大震災で行方不明になった、ラーメン店店主の母の味を再現すべく、奮起する主人公・正実と、その家族の絆を描いたハートフルな物語です。

「震災によってバラバラになってしまった家族の修復の過程が丁寧に描かれている作品です。一見、重たい雰囲気の作品に思えるかもしれませんが、家族間でのコミカルな掛け合いもあって、そのバランスがとても心地良く感じました」

ーー井桁さんが演じている正実は、どんな女性ですか。

「自分の気持ちに正直な女性ですね。嘘がつけないからこそ、すべてを率直に言ってしまってトラブルを起こしてしまう。でも、根はすごく優しい不器用な子なんです」

ーー男勝りな性格ですよね。演じるにあたり、心がけたことはありますか。

「こういうふうにしてみようとか、あまり考えすぎないことですかね。その時々で感じたことを、そのまま出してみようと、どのシーンでも心がけました」

ーー正実が家を出たことで、ラーメン店を継ぐことになった妹の仲良とは、作中に何度も衝突するシーンがあります。

「ケンカばかりしていますが、仲良のことを嫌っているわけではないんですよね。母の味を守りたいという正実が、その思いを、ちゃんと伝えられない不器用な性格から、つい衝突してしまっているんです。

 だから、仲良が男にだまされそうになるシーンでは、自ら妹を守るために行動していますよね」

ーー作中では、井桁さんがラーメンを作るシーンも見られます。実際に、釜石ラーメンは食べましたか。

「はい! 釜石ラーメンって、釜石の鉱山で働く人が、早朝の時間でも食べやすいようにという思いから生まれたそうです。
 そのため、麺は細い縮れ麺でスープは透き通るほどあっさりしていて、毎日、食べても飽きない。私は福岡出身なので、とんこつラーメンが大好きなんですが、また違ったおいしさを感じました」 

ーーお話を聞いていたら、お腹が空いてきますね。釜石ラーメンは、程よいコシのある「極細の縮れ麺」と「琥珀色に透き通った醤油味の淡麗スープ」が特徴。実際に釜石へ行って食べてみたくなりました。