コンビニに行く途中、言葉が空から降ってきた

 ついに売れたと思ったら、お客さん1人のライブに出演していた。そんな2019年の夏のことだった。

「コンビニ行こうと思って歩いてたとき、あの、薬とか全然打ってないんですけど、感じるんですよ。空から、神を。ぱっと見て、おお、と思って。なんて表現したらいいんですかね、なんか包まれているような感じがして。わかるんですよ、言葉が。ああ俺は見られてたんか、そういうことやったんかって思って、ほんならゴミ拾いしますって言って」

ーー……ゴミ拾い? そういうメッセージを受け取ったんですか?

「いやまったく。勝手に」

ーー勝手に!

「仕事くださいって言ったら、無償でやれ、言われたんですよ。とにかく見ててくださいっつって、ちりとりとほうき買って。ゴミだけだとすぐに溜まっちゃうんで、トングにして吸い殻に集中しようと思って。ほんだら、そこから3か月くらいしたら急に『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系、2019年10月12日放送回)呼ばれて。せいじさんが呼ばれて、せいじさんのお友達ということで僕も呼ばれて。ほんで“イリオモテヤマネコの顔をしながらフクロウの鳴き声をします”って、(明石家)さんまさんの前でやったんですよ。さんまさん、めちゃくちゃ笑ってました。ずっと笑ってました」

 すると急にふと我に返った顔をして、「すいません、ターニングポイントの話でしたよね? すいません!」と平謝りするのだが、『向上委員会』以降じわじわとテレビ出演が増加していくのだから、不思議な経験が転機を引き寄せたにちがいないのだ。

(つづく)

チャンス大城(ちゃんす・おおしろ)1975年1月22日生まれ、兵庫県出身。14歳のときに、1歳サバを読みNSC大阪校8期生として入学するものちに中退。高校卒業後に同13期生として再入学。フリーとなり長く地下芸人生活を送り、2017年12月放送『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の『第23回細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で小出真保とともに優勝。翌1月放送『人志松本のすべらない話』(同)に出演しその名が轟く。近年は『水曜日のダウンタウン』(TBS系)などで活躍。R-1グランプリ2025ファイナリスト。